超音波の基礎原理を学ぼう!

超音波の反射

超音波診断においては、連続波ドプラ等を除き「パルス反射法」にて超音波断層画像やドプラ信号を画像に表示していることはパルス反射法の項で述べた。これは超音波が反射する特性があり、それを医療診断画像に利用したものである。

 

超音波の反射は、音響インピーダンスに差がある媒体間(組織間、細胞間等)の境界にて起こる。さらにいえば、超音波が境界に入射する際、音響インピーダンスに差が大きい部分ほど反射は強く起こりBモードやMモードに表示されるエコー輝度が高くなる。逆に音響インピーダンスに差のない、または少ない境界においては、反射が起こらないか、もしくは反射は非常に弱い。従ってエコー輝度は無エコーから低エコー輝度になる。

超音波の反射

(超音波の反射)

 

このように、超音波画像の輝度表示は超音波が音響インピーダンス差のある境界面で反射することを利用している。また、使用している超音波波長に比し、十分に小さい音響インピーダンス差のある境界に超音波が入射すると、単純な鏡面反射とならずに散乱を起こす。実際の生体内ではこのレイリー散乱およびその干渉波を画像化することとなることが多い。いわゆるスペックルノイズというものである。

 

超音波装置には血流を評価するためのドプラ機能を備えている機器が多くなっているが、ドプラ機能においても超音波の反射波の周波数変化を捉えて画像化するため、反射特性は超音波画像を可視化するために非常に大切なファクターとなる。同じく、AボードやMモードも超音波の反射強度を振幅や輝度で表示しているため、超音波診断にとって超音波の反射特性はなくてはならないものである。


関連ページ

超音波の屈折
超音波の屈折:医用超音波の基礎工学を簡単に解説するサイトです。超音波検査の原理や装置の仕組みについての説明。
超音波の減衰
超音波の減衰:超音波の基礎工学を簡単に解説するサイトです。超音波検査の原理や装置の仕組みについての説明。