移動速度と偏移周波数の関係がわかりません
Q:移動速度と偏移周波数の関係がわかりません
A:音源が観測者に対して(向かってくる、または遠ざかる方向へ)移動している時、観測者からは、実際に出している音波と異なる周波数の音波として観測されます。これがドップラー効果です。超音波診断では、このドプラ効果を利用して移動しているモノ(主に血流)を評価します。ドプラ法です。
血流を評価しようとする場合、対象は赤血球となるのですが、赤血球自体が音波を出しているわけではありません。なので、ドプラ法では超音波を赤血球に送信し、そこからの反射波が周波数変化を起こしているかどうか? そして、周波数変化を起こしているのであれば、どのくらいの変化を起こしているか?を観測することで移動しているのか? 移動しているのであれば、速度はどのくらいなのか? ということを測定しています。動いていないものは、周波数変化がゼロ。スピードが遅いものは、周波数変化が少なく、速く移動しているものは周波数変化が大きくなります。
そこで、ようやく質問への回答なのですが、上述した「送信波の周波数と反射波の周波数の差」つまり周波数がどのくらい変化したのかを「偏移周波数」といいます。ですから、移動速度が遅ければ「偏移周波数は少なく(小さく)」、移動速度が速いと「偏移周波数は多く(大きく)」なります。
折り返し現象について
Q:超音波ビームと血流のなす角度が小さくなると折り返し現象が生じにくくなると考えてしまいますがなぜ違うのでしょう。
A:移動物に対して超音波の入射角度を変えると、ドップラー効果(偏移周波数)も変化します。超音波ビームと血流のなす角度が「平行」でドップラー効果は最大となり、直角に近くなるにつれて、ドップラー効果は小さくなります。ということは、入射角が小さいほど偏移周波数が大きくなるため、速度は速く観測されます。逆に入射角が大きく(直交方向に)なるにつれ、偏移周波数は小さくなり、速度は遅く観測されてしまいます。折り返し現象(エイリアシング)は偏移周波数が大きい(速度が速い)程、起きやすいので、超音波ビームと血流のなす角度が小さくなると、観測される速度が速く(=偏移周波数が大きく)なりますので、折り返し現象が生じやすくなります。
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