超音波の基礎原理を学ぼう!

超音波診断装置の調節

超音波診断装置は、初期設定のままで検査を行っても問題ないケースが多いが、やはり装置の持つパフォーマンスを最大限に発揮する為にも調節は必須であるし、装置の原理の知識は重要となる。基本的な調節とその基礎原理について解説する。

 

【GAIN】
増幅度や利益、利得を指しdBで表す。エコーでは生体内組織からの微弱な反射信号を対数増幅器によって増幅している。ログアンプで増幅した後の表示範囲を選択するのがGAINである。実際の検査時には表示画像全体の輝度が検査に適した状況にしたい時に調節を行う。

 

【STC】
被検体内に超音波を送波してエコーを受信する場合、受信増幅器のゲインを受信時間の経過とともに増加させ、エコー帰投の過程で生じる信号減衰を補償することが知られている。これをセンシティビティ・タイムコントロール(sensitivity time control:STC)またはタイムゲイン・コントロール(time-gain control: TGC) と呼ばれる。表示画像の深度に応じてGAINを設定することができる。

 

【DR】
エコー等がノイズに埋もれず、且つ飽和しないで増幅または表示できる入力範囲をいう。細かく滑らかな画像が得たい場合は上げると良い。境界を際立たせたい場合も有効なことがある。(edge enhancementを用いることも有効)

 

【FOCUS】
超音波ビームの広がりを防いで総合的な感度をよくする(音圧を高くする、分解能を良くする等)ために、超音波ビームを収束させること。フォーカシングには凹面振動子、音響レンズ、反射鏡、電子フォーカス法などがある。一般的に調節できるフォーカスは方位方向のみであるが、観察深度に合わせると分解能が向上する。送信多段フォーカスではフォーカス段数を増やすとFRに悪影響を及ぼすためFRが損なわれない程度に調節する。

 

【DEPS】
Depth of Field(:視野深度)のこと。観察深度に応じて調整する。視野深度を深く設定すると相対的に対象物の画像は小さくなり、FRも低くならざるをえない。視野深度を浅くすることで、対象物を大きな画像で観察することができるが、そもそも深い位置にあるものはDEPSで拡大することができない(視野外にでてしまう)。そのような場合は、ズーム機能などを使うことで解決できることもある。

超音波装置操作パネル

(超音波装置操作パネル)


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