超音波の基礎原理を学ぼう!

疎密波とサインカーブ

Q:疎密波という、言葉の意味がいまいちわかりにくいもので・・・。何が密で、何が疎なのかがわからないものでもう少し教えて頂きたいのですが・・・。

 

A:電波は媒質中を伝搬する方向に対して、横波として進んでいきます。例えば、ロープや縄跳びの片側を持って上下や左右に振ると、「サインカーブ」を描きます。また、蛇が前方に移動する時にも「サインカーブ」を描くように進んでいきます。振動の進む方向に対しては、垂直方向の振動を繰り返しながら、進んでいきます。これが横波のイメージです。

 

対して、音波は媒質中を伝搬する方向に向かって縦に振動しながら進んでいきます。イメージとしては、高速道路の渋滞を思い浮かべてみて下さい。高速道路の渋滞では、渋滞で車が詰っているところと、若干進んでいる部分がありますよね。車が詰っている部分が「密」で、少し動きがあって車間が空いている部分が「疎」です。音波は、高速道路の渋滞のように止まったり(密)進んだり(疎)しながら、進行方向に対して平行な振動を繰り返して進んでいきます。なので縦波といわれます。

 

また、シリンジ(注射器)の出口を塞いでピストンを押すと、中に入っている空気が圧縮されます。これが「密」の状態。逆に、出口を塞いだまま、ピストンを引っ張ると、中の空気は大気圧より低くなります(分子間の隙間が大きくなる)。この状態が「疎」の状態です。注射器とは違って、何も制限がない場所で空気を押しても、空気は圧縮されませんが、もし、ものすごい速さで押すと、一瞬空気は圧縮されます。そして、圧縮された空気は、元の状態に戻ろうと、その先の空気を押します。さらに、隣の空気を押しすぎて、大気圧よりも低くなっちゃうのです(疎になる)。すると手前の空気を引っ張って元の状態に戻ろうとする。。

 

こうやって、音波が伝わる振動は、進行方向に対して平行方向に振動を伝えます。渋滞の例では車は前に移動していきますが、じつは空気の例のように縦波は媒質そのものはその場で前後に動いているだけです。縦波は、媒質に「密度が高い部分」と「密度が疎な(低い)部分」ができますので、疎密波とも呼ばれます。 また、弾性波とも呼ばれます。

 

そして、縦波はそのままでは計算する場合にややこしいので、サインカーブとして考えた方が楽なのです。サインカーブの上に凸な部分は密度の高い部分(車がとまっている部分)、下に凸な部分は媒質の密度の低い部分と考えます。この時、波の高さ(振幅・サインカーブの縦軸方向)は、超音波の強さやパワーを表します。周波数f=1/Tは、あくまで1秒間に何回の振動が起こっているか? を表すものですので、周波数が同じでも、波の高さが高い(振幅の大きい)波と波の高さが低い(振幅が小さい)
波があります。

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